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ジョイナス先輩の言ってることは正論ではない

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正論について

 前から気になってるんだけども、正論でもなんでもないものが正論呼ばわりされるのをネットで結構見かける。

 正論であるためには道理にかなっている・筋を通されている必要があり、だから正論ばかり吐ける人間というのがいるならそれは物事を相当わかっている能力の高い人間であるし、人の意見を正論と呼べる人もまた道理について正しい判定をするだけの賢さがあるはずだ。
 
 しかし何故か昨今ネットでは正論ということばには相当なネガティブイメージがついていて、「正論を吐く人間」と言ったら「人を嫌な気持ちにさせる機能だけの発言をする性格と頭の悪いアホ」ぐらいの勢いがある。正しい嫌な奴、と。「正論ばかり主張する」と書いてあったら確実に悪い意味であり批判だ。*1

 それが更にエスカレートして、アニメや漫画のようなコンテンツで、登場人物がドヤ顔で感じ悪いこと言ったら「正論」「正論だ」みたいな感想やコメントがつくようになってしまった。
 
 こういうのはつまりみんな、正論とは何かをわかってないし、ある意見が正論かどうか判定する能力が無いのだ。


小笠原に能力を求める筋はあるのか

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 やっとアニメの話になる。ジョイナス先輩は部長就任を嘱望されていたが断り、他の3年もみんな部長になるのを嫌がり、結果として自他共に適性不足を認める小笠原先輩が部長を引き受けたという過去がある。

 それで今週、その小笠原部長がテンパってたらジョイナス先輩が現れて、「それは悪い癖よん」とか「部長は堂々として怖がられないと」とか上からの訓示を垂れるわけです。いや、これは正論じゃないでしょ。少なくとも3年が小笠原に「部長として能力不足」みたいな説教するのはおかしい。だって向いてないんだものそいつ。しかも、向いてないのを3年は予め知ってたんだもの。

 小笠原は仕方なく貧乏くじを引いた&周囲はそういう性格の奴に押し付けたっていう構図であり、小笠原に能力不足があっても他の3年達は黙って支えるしかないんですよ。そこに文句や注文を言う筋はない。だってそもそも能力に対する信任じゃないんだもん。
 そういう流れで来ておいて小笠原に部長としての資質を求めるのは、偽装結婚に協力してくれた相手に「夫(妻)としてちゃんと私を愛して」って言い出すぐらいおかしい。
 なのにネットを見ると「ジョイナスの説教は怖いけど正論」みたいなコメント・感想が一杯ついていて、アホかと。

小笠原に断られていてもよかったのか

 更に、小笠原が「説教するなら人に押し付けずにお前がやれや!」と当然のキレを見せたところ、ジョイナスは「たったらあんたも断ればよかったじゃん」と言い出すのです。
 誰かが部長を引き受けないと部が成り立たなかった以上、「たったらあんたも断ればよかったじゃん」は成り立ちません。小笠原が貧乏くじ引いて存続させてくれた吹奏楽部をジョイナスも在籍・利用しているからです。

 例えるなら「あんた脱税しておいて納税に苦しんでる私に説教しないでよ!」とキレられて「だったらあんたも脱税すればよかったじゃない」と言い返すようなもの。ロビンソンクルーソーならそれ言ってもいいですが、社会インフラを利用しながら言ってるなら全く筋が通りません。 

 なのにこれも「正論」「正論」て言ってる奴が多くてウンザリする。製作者的にも「自信満々に実は筋違いのこと言うジョイナス」「なのに言い返せないトロい小笠原」を描いてる(たぶん)と思うんですが、うーん。

ジョイナスの人物像もやや謎(ぶれてる?)

 それとは別に、なんかジョイナスの行動指針がよくわからない部分はあります。どうも面倒ごとが極度に嫌いで楽器吹くことだけに集中したいという子らしいんですが、そういう奴がここで小笠原に無駄な説教して激昂させるのもおかしい気がする。頭良くて冷たい奴はそんなことしないだろう。
 「葵はしょうがないしもう要らないでしょ、部長はよくやってるよー、さ、もどろ!」と手早く収拾しようとして「なんでそんなに冷たいの!」とキレられて失敗、とかのほうがいわゆる”頭のいいサイコパス”感出たのじゃないだろうか。

 
 あと関係ないけど、「ほーら涙拭いて」「自分で出来る!」のところはやりとりが微妙に噛み合ってなくて、これ多分”ジョイナスが小笠原の涙を勝手に拭こうとし始める演技”の指示があったんじゃない?抜けてない?
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*1:ちなみにこのコラムも今見つけただけだが、文中に正論なんか一個も出てこないし書き手が正論の意味をわかってないパターン。