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『姉のおなかをふくらませるのは僕 1巻 』 漫画レビュー

毎回一定のページを調理シーンに割かれるのがメシ漫画の宿命だ。調理に力が入るとそれ以外のパートで盛り込める情報量は減る。

『姉おな』はこの先もずっと説明する気がないであろう設定(人間関係やら由来の想像できないあだ名の数々やら)を断片的に見せていくことで体感情報量を補う手法がわりと効果的に成功している。

しかし逆に調理に入ると省略が下手だ。ハイテンション高密度の日常パートからシームレスに調理パートに入り、それまでと変わらないテンションで調理を進め、しかも全手順を絵と台詞で説明しようとするからコマがかさむし絵も情報もうるさい。

 
漫画として日常パートが面白くて、メシもちょっと面白いメニューを揃え、レシピは完璧に再現できるレベルで提供して…
という作者のサービス精神はわかる。なんだかおっさんの夜食っぽいメニューが多いのも、原作者が真面目に料理好きなのかもしれない。

だが、日常パートをメシと切り離しても成立するぐらいにギチギチ詰めるなら、調理パートは少し密度とテンションを落とした方が読みやすい。

焦点を絞れず緩急・粗密のない漫画は結局読者の脳に食い込まない。せっかく盛り盛りにした情報も上滑りして落ちていくのだ。

原作者・作画者ともの意気込みを感じるからこそ、少し勿体無い漫画だと感じた。
単行本巻末の設定資料は楽しい。