ここはお前の日記帳

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実費旅費に税金払ってるのは「日本の大学独自の決まり事」ではなくただの事務の怠慢では

↓こういうまとめを見た。togetter.com

いろいろおかしいが、少なくとも旅費は非課税に出来ると思う。
細かい事情がわからないので推測できる場合別に。


1,給与である場合

日本の大学で研究してるノルウェー人研究者が日本の大学で管理する研究費から賃金を受けてると言う話togetterで見た限りはこれかなと判断した)なら、そのノルウェー人にとって研究費は給与所得であろうから、その職務を遂行する為に大学から受けた旅費は非課税となる。
通常必要な範囲の旅行(つまり経路に寄り道が入っていたりしない)で、学内のその研究員の格にあったものなら(つまりペーペーがビジネスやファーストに乗ったりしてない)問題ないだろう。課税されない。
所得税法9条第一項四号 所法基本通達9-3)。

2.報酬・料金である場合

日本の大学に講演のようなことをしに来日したノルウェー人研究者が講演の報酬を受けると言う話ならもう少し面倒くさくなるが、その講演の為の来日旅費を、日本の大学が飛行機代やらタクシー代やらホテル代やらを業者へ直接支払って(つまり旅券は大学側で買って当人に渡す感じだ)アレンジしてるならやはり旅費分は報酬に含めなくて良い。つまり課税されない。
タックスアンサーNo.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

3.ところで国内源泉所得ではあるんだよね?

ここまで書いてきてまさかということに思い当たった。
日本で非居住者から税金をとっている以上は国内源泉所得、つまりノルウェー人が日本で働いているということを当然の前提としてきたが、呟いてる人のプロフィール見ると北欧中心にずっと海外飛び回ってる人らしく、そうすると話に出てくるノルウェー人ももしかして北欧(っていうかノルウェー本国?)で働いてたりするんだろうか? もしそうなら日本から非居住者の国外源泉所得を支払ってるわけで課税もクソもなくなる。まさか外国法人に事業対価払ってるなんて話ではないだろうし…これはないよね?

やはり大学の事務方への疑問

というわけで、源泉とられてる実費旅費は基本的に課税されないようにできるものだ。


大学事務の担当者が不勉強だと研究者や学生が受けられるべき税制上の恩恵も受けられないどころか、払わなくていい税金を払う羽目になったりもするだろう。

大学側で吸収して損としてるならまだいいが(よくないが)、もしも事情のよくわからない外国人研究者にしわ寄せしてるならとんでもないことだ。

が、立替旅費源泉徴収20%(厳密には20.42%)引きというこの酷い処理を飲まされてるノルウェー人研究者が(当該ツイートがネタや何かの間違いでない限り)実在する。

それで飲ませることが出来て、外国人の同僚である日本人研究者までもが(結果的に)口裏合わせ的に丸め込んでくれちゃうなら、深く考えずに「これでいいのだ」しちゃう担当者の気持ちもわかる。わからない。


やっぱこれ一種のお役所的な特殊な空気でそうなってるんじゃなかろうか。
市井の会社ならどんな中小でも税金睨んで一生懸命考えて「これ課税っておかしくないですか!?」と調べたり談判したりする。コストの問題もあるし、出張旅費に課税されたら同僚もキレるし。

それを大学みたいなとこだと、「めんどくさいからよく調べないまま理不尽感ある不利な処理しちゃうけど、あんまりうるさくない学者や学生に負担ぶっかけちゃえば文句いわんヘーキヘーキ」っていう特殊な身分があるんじゃないだろうかなあ。邪推しすぎ?



まあどっちにせよ、
非居住者なら無駄に払っても払い切りで、申告で取り戻すことすら出来ない。
ひでえ話だ。


かわいそうなノルウェー人救済の希望

ところであまり知られてない論点だが、というかちゃんと勉強した人ほど勘違いする穴だが、租税条約の届出はその給与等の支払いの前日までに提出しなければいけないと規定にあるが、実はそれは免税の要件ではない。