奥州藤原氏の恨みを仮冒するサヨク(?)史観見て苦笑い
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うひょー、頭悪いもん読んでしまった。
東北としてはね、800年ころまで日本とは別の勢力だったのよ。それが朝廷に征服されたけど、いわば植民地支配下の地元豪族でがんばった。その究極が奥州藤原氏。阿弖流為依頼の東北独立勢力が、1100年頃には京都の朝廷に富でまさるほどの栄華を達成した
— 後藤寿庵 (@juangotoh) 2016年5月4日
奥州藤原氏が?アテルイ以来の蝦夷勢力?地元豪族として頑張ってきた?
爽快なほど子供っぽい歴史知識ですね。
中学校のテストかな?
奥州藤原氏を勉強しよう
とは言っても多少マニアックな部分なのでわからない人も居るでしょう。
ざっと説明します。
まず最初に、蝦夷系豪族という概念があります。
これは関東や東北に住んでた先住民?異民族?の蝦夷が中央から来た朝廷勢力に敗北したあと、その支配を受け入れつつ豪族化したものです。
問題の奥州藤原氏が蝦夷勢力扱いされることがあるのもこれで、奥州藤原氏の前身である出羽清原氏が蝦夷系豪族だったと言われるからです。
だけれども、この清原氏の始祖というのがそもそも中央から来た官人で血筋も皇孫なんですよね。まとめあげる家臣や領民には顔の濃い蝦夷っぽい人達(差別的表現か?)が居たかもしれないし、血は混じっただろうけど、清原一族はあくまで中央の家名であり血筋なんですよ(どの清原か定説に揺らぎはあるけど)。
「でもそれぐらいならロコ勢力扱いしちゃってもいいでしょ」?*1
まあそうかもね。
ならもっと見ていきましょう。
実は東北の蝦夷系豪族には清原氏以外にもうひとつ、安倍氏という大勢力があって、これと畿内出身源頼義との間で起きた戦いがテストにも出てくる前九年の役です。このとき清原氏はなんと源頼義側について”同じ蝦夷系の仲間”の背中を刺し、安倍氏の滅亡の立役者になりました。
その手柄で朝廷に褒められて位階や官職を賜ったうえ安倍氏の領地も自分の物にしたのが奥州藤原氏の始まりなんですよね。
前九年、後三年の役な、あれ、中央集権な大和朝廷が東北を支配下に入れたあと、律令制がほころびていった過程で、東北が独立できるかもっていう大チャンスだったのよ。まさか適当におっぱらった源氏が戻ってくるとは…
— 後藤寿庵 (@juangotoh) 2016年5月4日
(おう、その「大チャンス」に仲間売って中央に取り入ったのがお前の好きだという奥州藤原氏の系譜ダヨ!)
ちなみに安倍氏を滅ぼしたあと奥州藤原氏を興す前段、まだ清原だったころに同族内で争いが起きて、源氏を巻き込んで色々内紛した結果、清原氏と関係ない藤原氏の子(連れ子で入ってた)が勝利して家督を継いでしまいます。
この時点で中央官人末裔である清原氏の系譜とすら断絶します。しかもその藤原氏の子ってのは遡ると藤原秀郷にたどり着いて、これは「ムカデ退治」の逸話で有名で朝廷の為に平将門討伐もしたあの俵藤太です。
歴史に虚構的な単純視角を持ち込む意義
こんな奥州藤原氏が源頼朝と戦ったのを単に蝦夷勢力VS中央勢力なんていえますか?
当時既にこれだけ家名も血筋もグチャグチャに入り組んでるものを、「蝦夷代表:奥州藤原氏」というアングルで見ようとするのは単なる阿呆向けのプロレス解説、はっきり虚構としか言いようがないでしょう。
そう思うと、「いわゆる」ネトウヨといわれる保守の人たちは、アイヌや朝鮮人や沖縄よりも先に、ぼくら東北人を叩くべきじゃないのかな?なにしろぼくら西暦800年ころから大和朝廷、すなわち天皇家に恨みを持ってもおかしくない境遇だよ。
— 後藤寿庵 (@juangotoh) 2016年5月4日
でさあ、こういう古代の話に単純化した物語を振ってアイデンティティにするのってむしろ保守とか右翼の人達のやり口なんじゃないの?
「ネトウヨ」がどうのこうのと言いながらこんな雑な歴史観を披露したうえで憎しみのアイデンティティにしちゃう人、同調する人達、もはやどう反応すればいいのかわからん。苦笑いしか出ないからやめてくれ。
だいたい我々現代日本人の血筋にはもはやあらゆるものが入ってるわけです。我々一人一人の血に皇室も蝦夷も織田も徳川も混ざり込んでると断言するのに十分な時間は経っています。
この後藤さんの家系だという留守氏系だって頼朝の家来から始めて中央から東北に移って行ったクチでしょう。時点を切り取れば加害者側ですよ。そのあととっくに混じってるけど。
また、留守氏はその後伊達家に従属するわけだから、政宗の代には周囲の大名家への侵略拡大の尖兵となるわけです。最後まで伊達家に抵抗して家名を残した相馬氏の人達からすると「侵略者の犬」にあたります。更に悪意を込めるなら「伊達家に尻尾振ったのに結局奥州仕置で騙されて領地失って家来に落ちぶれた間抜けの家」とかね。
んなこと言われてもきょとんとするでしょうが、まあ嬉しくはないでしょ。何より無意味で不毛です。あんたらのやってるのはそういうレベルのことです。
で、そのような来歴と血の中からどれかひとつのアイデンティティを選び出してそこだけに立脚して語るのは何かというと単なる当人の趣味、選好でしかありません。
それをいい方向のプライドにするなら一種の虚構も結構ですが、人を憎むとか見下すとかいう暗い方向に行くなら害悪でしかないでしょう。
一体何をしたくて血を弄んでるんでしょうね?
何か建設的な目的があるんでしょうか?
ちなみに
この後藤さん達が追ったような「蝦夷っぽいロマン」を求めるならば、奥州藤原氏・清原氏の流れなんかよりは安倍氏の方がずっとそのエッセンスは濃いです。
安倍氏にも中央官人末流説はありますが、有力なのはガチ俘囚(ふしゅう。服属蝦夷)の王の豪族化した一族だという説です。
前述の通り前九年の役で一族滅亡しますが、討ち取られた安倍貞任の首が中央へ運ばれる際、これに同行する貞任の下男は主人の髪を梳かしながら、「この世の太陽とも思っていたお方なのに私のこんなむさい櫛を使うことになろうとは」みたいに嘆いていて、安倍氏の支配地にまさに独立した宇宙があった感じが見て取れたりする。
…で、ちなみにな、この中央勢力&裏切り蝦夷のタッグに滅ぼされた安倍氏、歴史上最も蝦夷成分濃かったと思われる蝦夷豪族の末裔も生き延びててな、「虐げられ続けた蝦夷の子孫」なりに現代で結構出世してるんだよ。お前等も大好きな人だよ。誰だと思う?
安倍晋三。
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少なくとも、「もう昔の事だから水に流そう」なんて台詞は、侵略した側の(末裔の)体制に賛同・帰属すると自任する人間が言って良い事ではないですね。百年経とうが千年経とうが。
2016/05/04 23:37
wwwww
1000年以上前の蝦夷のことまで持ち出して反体制!アベシネ!と叫ぶサヨクの皆さん
あんたらの大嫌いな首相は蝦夷の王の末裔でーーーーーす
あと1000年でも万年でも勝手に誰かを恨んどけ。