いやAVはめっちゃ関係あるし、話し合いには限界があるでしょ。
anond.hatelabo.jp
AVの害について訴えるこのエントリと反応について。
話し合いで自覚出来たら世話はない
AVの弊害 男はみんないい加減気づいてくれb.hatena.ne.jp
- [性]
AVなんも関係ないです。相手を尊重するSEXができないその男が問題…というかまともに話し合いもできない二人に問題があるというだけ。むしろAVに原因を押し付けるのは問題の本質から目を逸らしている。
2016/09/24 21:17
この理想主義すぎるブコメが星1位になっちゃうのいかにもはてなって感じ。
いやいや、無理でしょ。
個人の中で既に育っちゃったファンタジーやモノの見方を話し合いで矯正するって滅茶苦茶大変でしょ。そんなん成功してるのどれほど見たことあるのよ。
これにスター押した人達ちょっと現実から目を逸らして無意識の願望や理想でスター押しちゃってるでしょ。
たとえば女性でも、思春期に刺激多目に盛った少女漫画に触れてくうちにそうと知らずに恋愛観に影響を受けてて現実に適応できない特殊なスタイルやファンタジーを抱えてましたーなんて人達とか実は珍しくない。
papuriko.hatenablog.comこのエントリは面白いから読んで欲しい
程度の差はあれみんなこういうのはあって、全然特殊な変な人ではないと思う。そしてこういうのは気付ける人ですらわりと10年単位の時間が掛かってやっとこ自己分析や整理がついたりする。無自覚なファンタジーはそれぐらい厄介だ。
脳についた癖は気付けてもすぐに治らない
というか元エントリのこの問題彼氏のなかではもうAV的な進行のセックスはファンタジーですらなくなってるかもしれない。つまり、「それ相手痛いだけだよ」という指摘を素直に受けて自分の思い込みだったと意識では気付けたとしても、長年そういう妄想を繰り返してオナニーしてたらそのイメージでしか興奮しないし気持ちよくもなれない脳になってることはありえる。もう既に彼の中では幻想や虚構ではなくリアルな快楽とはそれ、になっちゃってる。そうすると脳の矯正は結構努力と時間が掛かる。
自分の脳に変な回路が出来ててそのせいで現実(目の前の彼女)と齟齬が起きてること、その齟齬は継続的で意識的な努力をあるていどの期間掛けてしないと治らないこと。このあたりのことを理性的に俯瞰的に捉えてリハビリ頑張れるのはかなり知能と自律性が高い人間なんじゃないか。そういうことを対話で一時期に言われて頭で理解し感情で納得するとなるとこれは結構ハイスペックな人間ではないか。
自分の快感の回路を「いけません」「間違いです」と言われて否定されて、未知の想像も信用もできない別の回路を作れと言われるわけだから、軽いシャブ中の更生に近い。ましてそのような問題の構造もわからない状況であれば、「いや、彼女の方がセックスをわかってない」というような発想に向かって話を聞かなくなり口論になることもあるだろう。というかそっちの方が想像に易い。
コンテンツファンタジーの害をどうするか
であるから、AVは(AVに限らずコンテンツは多かれ少なかれ)実際に害を及ぼしている。関係なくなんかありゃしない。その害は対話で取り除けるとしても小さくない労力が掛かる。大抵は対話だと反発するので、本人の時間を掛けた成長とか内省とかで取り除かれる。だとすれば交際相手が変なファンタジーを持ってると、出会ったタイミングが早かったと思って我慢するかさよならするかしかなくなる。これは膨大な損失だ。
もちろん恋愛やセックスに妄想とファンタジーは込みのものだし、多少現実から離れたファンタジーを持つことまで否定される必要はない。相手が理解出来て共有したり付き合ってあげられる程度のファンタジーだったら楽しい要素になりうる*1。
また、現実から慣れて刺激の強さを追及する娯楽コンテンツ自体を否定することはできない。現実と違うことを弁えて楽しめるならどんなファンタジーも害は少ないだろう。ただ若年者がコンテンツを楽しむ時には並行して、おぼろげなアウトラインだけででも「ファンタジーと違う現実*2」を提示しておくことが親切だと思う。
コンテンツで提供される刺激やファンタジーは絵になる派手なものが多くて、AVのセックスはすごい強さでガンガンピストンするし、少女漫画の恋愛はドラマチックな葛藤や障害を飛び越える。現実のそれらはもっと繊細なところにたくさんの感じ取れるものや面白みがあって、その価値は決してコンテンツに負けないものだけれども、派手な刺激だけを探していると細かいものは感じ取れなくなってしまう。
こういうことに、もし社会的に取り組むとしたならどうすればいいのか。グロい方向になるが官製AV官製少女漫画も1案だろう。しかし、商業ベース上のエンタメコンテンツが少しずつ進歩していく、ぶっ飛んだ刺激以外のものを提供するようになる、という方向性が1番期待できるような気がする*3。