ここはお前の日記帳

主にはてなブログやはてなブックマークから気になったことを

醜い人間の希望

anond.hatelabo.jp
この作文で感動した。
ちゃんと面白いしグッとくる。
天使の死についてほんの若干冗長なのを除けば文句がない。



作者の彼は2年前の1時期「ネフローゼ高校生」という名乗りで匿名ダイアリーに居つき
学校生活の愚痴&暗い人生展望を延々と書き続けて大層嫌がられている奴だった。



嫌がられた理由はまあ
1「思考が狭く話が面白くない」
2「あまりにも毎回同じような内容」
3「高校生にもなって徹底して自分のことしか心配しない了見」
あたりだと思う。
(彼を嫌ってた人全員にアンケートとったわけじゃないから
 こんなのかなり個人的なチェックかもしれない。)



増「うぜー しつこい いい加減消えろ」
ネ「容姿が醜くて背も微妙で成績まで悪く、希望がないし誰にも相手されないからここにいさせてください」
増「つまんない話を無料で聞いてもらえる場所なんてねーぞ カウンセリングかキャバクラでも行け」
…みたいなやりとりを何度か見た気がする。



そんな彼が、2年ぶりに大学生になって現れたと思ったら
毎回面白い作文をするようになっていて、
コンスタントに好意的レスポンスもついている。



すごいのは、嫌がられていた理由の1,2,3は未だに何も変わっていないことだ。
根源的な問題であるという「醜い容貌とそれを延々気にする心」も変わっていない。
作文スタイルは未だに「自分の醜さについてぶつぶつ言う」だけだ。



それなのに周囲の扱いが変わっている。
醜いまま、視野の狭い世界のまま、自分の話ばっかするまま、
脳のどこかが豊かになって文章に面白さが生まれ人に相手されるようになっている。



他者不在のままなりに
自分の分身のような存在とはいえ”僕”とは別のキャラが登場し、
目や鼻から液体を垂れ流すような(ある意味陳腐な)心の痛みの描写がされ、
その液体がボタボタと音をたてたり枕にしみこんだり出来る物理的実としてアクションしてるなんて、
すべて昔の彼の作文にはなかったことだ。



いやこれだけ他人から読みやすく面白く書いている時点でほんとはもう自分だけの世界も終わろうとしているのかもしれない。


いい最終回だった。