人間を品評して許される場合・許されない場合
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宇多田の劣化の件とかブスのデザイナーの件とかに対して発狂したように容姿叩き叩きをしてる人達がいるけど意味が分からない。普段散々「才能ない」とか「つまらない」とかいう言葉で他人を叩いてる癖に、なぜ容姿だけは叩いちゃいけないんだよ。才能や面白さだって、容姿と同じように努力だけでは改善に限界がある事柄じゃん。才能叩きしていいなら容姿叩きしたって問題ないだろ。
良い質問です。
答えは簡単です。
宇多田ヒカルやブスのデザイナー(誰?)は容姿で売ってないから容姿を品評してはいけないんです。
たとえば石原さとみなら容姿を品評してかまいません。
私はシン・ゴジラのカヨコ・アン・パタースンの役作りはとてもいいと思いましたが、何回かある全身が映るシーンでは、「ああ、姿が良くないなあ」と感じました。石原さとみは脚がやや短いうえ、身長が160cmもないんです。”美人女優”枠はやっぱり170cm以上は欲しいなと、そこは石原さとみの弱点だなと個人的には思います。
こうやってればわからない。
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こんなこと書いてる記事をもし石原さとみ本人が読んだら(読むわけねー)気分悪いかもしれませんし、ちょっと傷つくかもしれません*1。けれどもこれは書いていいんです。石原さとみは自分の容姿を売りにして、「かわいい」とか「美人」とか品評され、そのような評価のうえで利得や仕事を得る立場の人だからです。自分で女優業(俳優業)を選んだ人の容姿については、まあ、無関係な人間が好き勝手に品評してもいいのです*2。
役者親子の高畑淳子・裕太には「顔なげーな」と言ってもいいんです。顔は彼等の売り物のうちだからです。
プロ野球選手のイ・デホには「クソみたいに足おせーな」とか言ってもいいんです。身体能力を売りに出した人だからです。
東浩紀には「頭悪いよな」「センス外れてるよな」と言ってもいいんです。知性や批評力で売ってる人だからです。
大学で一般女子学生に美人とかブスとか言うのは許されませんが、ミスコンに出場した学生については「3番の人が一番かわいい」「5番の人はスタイル悪い」とか関係ない奴が好きに評価を述べてもいいんです。
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自分の中の何かの要素を売りにする、何かの分野の競争に参戦すると、その要素・分野については他人にいろいろ品評されるものだし、それについて同意したと見なされるのは仕方ないことです*3。学校での期末テストですら、それを受ける学生達はある範囲の知的能力について優劣判定を受けることに同意しているわけです。
本来人と比べられたり品評されたりしない権利が人間にあるとして、その権利を場面場面で部分的に手放すことに同意していくのが現在のわれわれの社会の中で生きることだといえます。