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トヨタの源泉徴収漏れと「使用料」の怖さ

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はい。
よくわからないのがどこなのか
細かく分解していきましょう。


「国内法に租税条約が優先」

まあこれは考えれば当たり前ですよね。
租税条約は常に各国国内法に優先します。でなきゃ機能しないし。
国内法と租税条約で言ってることが衝突したら常に租税条約の言い分が通ります。
これが前提。

問題の整理

大雑把に、
企業間で役務の提供と対価が発生したとき、この対価については税金が発生します。
しかしどの国がその税金を取れるのかが国際課税の問題です。


今回のケースは
「日本の企業が、ドイツの企業に、ドイツで役務提供を受け、対価を支払った」
というもの。


まず税金を払うのは誰でしょうか?
対価を受け取る(利得を得る)ドイツ企業ですね。
そしてこのドイツ企業は何者でしょうか?
ドイツの居住者(日本の非居住者)です。


強調部分だけ通しで読んで下さい。
この問題は「日本の非居住者」がどの国に税金を支払うか?の問題なわけです


一般的な「事業所得」であればよかったが

登場する国はドイツと日本ですが、感覚的にどっちに課税する権利があると思いますか?
役務提供自体はドイツで行われていて、
日本との関わりは「対価を日本企業が支払ってる」ということだけ。


「なんとなくドイツかな?」と思うでしょうか。その通りです。
日本の税法ではこの場合役務提供がどちらの国で行われたかで判定します。


であるから、
日本はこの取引に課税をしない、
だから日本に納める税金はない、
おわり。
トヨタもそんな風に考えたんでしょう。


「使用料」だと話が変ってしまう

トヨタ国税局の意見が分かれたのは、おそらく役務提供の内容についてです。
トヨタはこれを一般的な委託と考えました。したがってドイツ企業が受け取るのも上述のいわゆる事業所得であると。


しかし国税が調査に入って役務の内容を調べた結果、
「いやいやこの役務の中にはドイツ企業の特許やノウハウが含まれてるやんけ」「この役務の対価は『事業所得』ではなく『使用料』やぞ」と指摘したのでしょうね。
この指摘が何故重要かというと、
使用料であれば租税条約の規定により課税出来る国が変ってしまうからです。


ドイツ企業の受け取るものが使用料となるとさきほどとは話がガラッと変り、
課税出来る国は対価の支払者がどちらの国に居住しているかで判定します。


すると、
日本に居住するトヨタが支払っているので日本での課税
だからドイツ企業は日本に納税しなければいけない。
話が180度近く変りました。


「支払者が源泉徴収しないといけない」

そしてドイツ企業による日本への納税の前段階として、トヨタも支払対価のうち一部を源泉徴収して日本に納めなければいけなかった。
とこうなるわけです。
直接詰められたのはこの源泉徴収分の未納でです。



まとめ

別の人の反応でこんなのが。


26億ってなんだ?
と思ったら記事中の別件の数字を足し合わせてますね。まず落ち着け。
そしてこの件については26億どころか9億円ですが、別に総額が9億円ということではなく、開発費の中から一部が使用料認定されてその部分が9億円ということでしょう。

 トヨタは取材に「調査の有無や内容については答えられない」としている。

まあ悪気はなかったでしょうし、落ち度らしい落ち度とも言い切れず、ご愁傷様な感じですよね。どのへんから使用料だなんてのがあんまり境界くっきりしてないし。


許容範囲内のチャレンジだったんじゃないかと思います。
合掌。



…って言う説明、どう?わかりやすいかなあ。
よければid:QJV97FCrさんらの感想を聞きたい。



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